人生はつまらなくていい|『しらふで生きる』(町田康)を読んで

- しらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎文庫)
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町田康著『しらふで生きる 大酒のみの決断』を読みました。
大変面白かったです。
この本は、ある日ふと「酒やめようかな」と思ってしまった(狂ってしまった、と著者は表現する)著者が、自身の断酒を振り返りながらその方法というか根源を開示していく本でした。
理論はとてもシンプルです。
・酒は楽しさを前借する道具であること
・楽しさは苦しさとセットであること
・酒を飲むとあとから苦しさがやってくること
・ではなぜ人は楽しさを欲して酒を飲むのか
・それは私たちは人生を楽しいものと思っているから
・人生はそもそも楽しいものではないと思えばいい
・そのためには自分は平均以下のアホであることを認識すべし
ということで、まとめだけ知りたいならこれで終わりです。
でも、著者の語りをぜひ読んでほしいなぁと思います。
この本を読むのは勉強ではなく、落語みたいな芸を鑑賞することに近いと思います。
著者の語り口調だからこそこの理論がすっと入ってくる、ように私は感じました。
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人生は苦しみであるとは、仏陀が言っていた気がしますが、自分の頭の中ではそれは違うんじゃないのと思っていました。
思考は自分で作るものであり、楽しいと思えば楽しめる、人生とはいかに楽しむかが肝であると、そう考えていたように思います。
でも、この本を読むと「人生楽しんだもん勝ち」というのが一つの呪いなのかもしれないと思えてきます。
結局そうやって思わせることで「不足」を際立たせ、「不足」を埋めるための消費へと向かうようにマーケティングされていたんではないだろうか。
「そも人生はつまらない」と思うだけで、結構肩の荷が下りる感じがします。
自分を平均以下のアホだと思えば、無理に損から逃れ続ける必要もなくなります。
人と比べる必要もなくなります。
だって平均以下だから負けるし、比べられる脳もないアホだから。
こうやって考えていると、何となく怒ったり憤ったりするモチベーションが下がる気がして心配になりますが、そういう時は『吾輩は猫である』を読みましょう。
妥協を許さず憤り続ける西洋の文化の最果てがそこには描かれています。

- 吾輩ハ猫デアル
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