やまのてのブログ

酒を飲んだら飲まれちゃうからなんとか飲まずに過ごしたい。

【お酒をやめた人】中江兆民

中江兆民という人物をご存知でしょうか。
名前だけは聞いたことあるけど?という人が多いのではないかと思います。
明治時代にルソーの「社会契約論」等を訳した、東洋のルソーと呼ばれる土佐出身の学者です。
兆民先生は、学者、仏語の先生として生きつつ、国会議員となって、更には実業家となって、と様々な挑戦を行った方ですが、最後には喉頭がんでなくなります。
『世界十五大哲学』(PHP新書)では、唯一日本の哲学者として紹介をされている人物です。


ところで、この兆民先生は、大変な酒飲みだったそうで、留学で行ったフランスでもよく酒場(それも労働者たちが集まるような安酒を出す酒場)に行っていたとか。

そして、そこで「自由を求め、自分達で勝ち取ることの大切さを声に出して発信できる民衆が存在する社会」を見ました。
当時の明治は、全然そんな社会ではなく、これから国会を立ち上げて人民の意見を政治に反映させようという時代でしたから、兆民先生も帰国後色々と活動します。
で、いざ国会が開かれる際には、いろいろな人に持ち上げられて当選。国会議員になりました(実はこの辺も実行派の哲学者のストーリーに満ち満ちているのですがそれは別のお話)。
しかし、同郷の土佐派の方々の裏切りなど、いろいろあって、国会議員をやめてしまいます。
その際に「アルコール中毒のため、ちゃんと判断ができず、賛否の票数に入れられるべきではないから辞任する」的なことを言ってやめていきました。
これが、日本のおいて「アルコール中毒」という言葉が公に出てきた初めてのときだったと考えられているようです。


その後、兆民先生は立ち上げた事業がうまく行かず、どんどん貧乏になります。
そんなわけで、酒も飲まない。
しかし、飲まなくなった理由は貧乏それだけではなく、事業を立ち上げた兆民先生は、事業とはできるだけ長く持続させることが社会のためにも肝心だ、という思いにいたり、酒をやめたのだとか。

上の本では、「それ以来、一滴も飲まなかった」とまで書かれています(本当かどうかはわかりませんし、病気のせいということもあるかもしれません)。
なるほど、意志の強い方です。


兆民先生のように、前向きな理由で酒を断てるというのは理想的だと思います。
私の場合は、今のところ、「金」と「カロリー」を根拠に酒を控えようと頑張っていますが、兆民先生と比べると、己の小ささが悲しくなります。
時々兆民先生の本を取り出して、断酒の助けにしたいものです。


兆民先生の著書の代表作としては、以下のような物があります。


個人的に、おすすめは三酔人経綸問答。
そして、それを読んだあとには、ぜひ弟子の幸徳秋水の本も読んでみてください。
いい師弟関係です。


コロナで世の中は騒然としていますが、桜は相変わらず咲くのがマイペースな感じでいとをかし。

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