やまのてのブログ

酒を飲んだら飲まれちゃうからなんとか飲まずに過ごしたい。

飲むことが仲間の証

前回の記事では、『酒飲みの社会学』の紹介をした上で、日本の特徴と紹介されていることが、実は海外でも似たような酒文化として形成されているケースもあると、ほのめかしました。
【読了】酒飲みの社会学 - やまのてのブログ
やまのてのオフタイム: 【読了】酒飲みの社会学(清水新二著、素朴社)
【読了】飲酒文化の社会的役割 - やまのてのブログ
やまのてのオフタイム: 【読了】飲酒文化の社会的役割(ジェリー・スティムソン他著、アサヒビール株式会社)


例えば、

日本人の場合、酒をくみ交わすことはそのまま交友関係や仲間関係をも合わせ飲んでいるのです。いちいちの酒席ではそうはっきりと意識していないかもしれませんが、一般に多くの人がこうした飲酒の社会的効用を実感しているはずです。「付き合い酒」などという言葉が存在することがそれを物語っています。(『酒飲みの社会学』)P47)

とあります。
こうした、集団に属する一人であることを証明するために飲む酒は、実は海外にも存在し、『飲酒文化の社会的役割』の中では、若者の飲む理由として紹介されています。

青年期とは、大人の領域とみなされている様々な行動を実験して見る時期である。飲酒も例外ではない。(中略)より年長のグループでは、自由や自立性が高まったことを楽しむ手段として飲酒をする傾向が強い。さらに、飲酒は社会的なサポートを受けながら、社会的つながりや特定のグループへの帰属意識を確立する方法と見ることもできる(例えば、Coleman & Cater,2005参照)。(『飲酒文化の社会的役割』P209)

また、ジンバブエ(またまたジンバブエですね…)では、ビヤホールで飲む文化が根づいているが、その酒場は酒を”仲間と”飲むことが認識されており、

ある種のグループにとってビヤホールが、コミュニティセンターのような役割をはたす場合もあることだ。「例えば日曜日の朝に、信用組合や葬儀協会のメンバーが仕事でビヤホールに集まっているのをよく見かける」(Woelk et al., 2001, p. 9)(『飲酒文化の社会的役割』(P82))

とあるように、ようするに「飲むこと」が集団に属する上で非常に重視されているわけですね。


『酒飲みの社会学』においては、こうした集団に属することを確認するための酒が、どのようにして根付いたのか、その背景に日本独特の「ソトのミウチ化」があることを指摘していました。
酒で腹を割って話す事で、関係をミウチ化し、距離の近い人間関係を構築することが農村社会では必要だったようです。


とはいえ、割りとこの「酒が人間関係のつなぎ役になる」ということを期待する国は多いようです。
だからこそ、酒にまつわるマナーやエチケットも生まれたし、酒と合わせる料理というのも生まれたのでしょう。


先進国の多くは、アルコールによる害を多分に経験し、その対策も進んでいます。
また、個人主義的な思想も根付いているため、上のような「飲まなきゃ仲間はずれ」ということはないでしょう。
しかし、開発途上国においては、そうした対策もあまり進んでおらず、「仲間と飲むことの重要性」が大きいという国があるようです。
こと酒への認識については、日本はまだまだ遅れていると、言わざるを得ないのかもしれません。


最後に、こうした日本の対策についての否定的な見方は、飲まない立場の私だからこそ取りうる見方なのかもしれないことを強調しておきたいと思います。
実際、『酒飲みの社会学』(p247)で紹介されいている「(お酒)の宣伝広告の禁止についてどう考えているか」を訪ねた調査では、「宣伝広告の禁止」「種類の自動販売機の禁止」「酒税の値上げ」「専門病院での治療の必要性」の4項目について、いずれもアルコール依存症の方のほうが、一般の回答者に比べて、「そうすべき」という回答をする割合が高いのです。


この傾向については、私自身の主観でしかありませんが、「飲めない人が有利になるように向かってほしい」という心理が働いていることをビンビンに感じます。
というか私は、そう思います。


酒のプラス面なんてのは、きれいに飲める人にしか享受できないものなのだから、私には関係ないし、プラス面を享受できないのであれば、私にはマイナスしかない。
だから「全員飲むなら損してほしい」という乱暴な発想なのは重々承知なのですが、まぁ私も人間ですから、思って白状するくらいは許してください。


早いもので、飲まなくなって、もうじき2ヶ月になります。
そして、今週末からは、GWです。
私は友人が多い方ではなく、友人との飲み会は長期休暇のときにしかありません。
今回のGWでも多分飲み会がありますが、今回私は飲めないので、一体どんな空気になるのやら…。
あまり心配をするような関係性でもないことを疑っているわけではありませんが、どんな飲み会になるかは未知数です。
だっていっつもベロベロでしたからね。


GRDⅣにて。
桃の花⑤ 少し引きで。
背景が白飛びしちゃってピンクがあまり映えてませんね…残念。
その他のGRDⅣの作例はこちら→やまのて写真館

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